結婚や内縁と相続税。遺産相続の税率と損得の境とは

内縁や事実婚と相続

突然ですが質問です!
生前贈与と死後の相続はどちらが得なのか知っていますか??

恋愛が成就して結婚に結びついた結果、自動的に相続関係も成立しています。
さらにはこの問いには事実婚なのか法律婚なのかでも答えが変わります。

「知らなかった」では損をする全ての既婚者に必要な知識をまとめます。

相続税と贈与税の違い

贈与税や相続税の節税方法と脱税

夫婦や家族において亡くなる前に財産を分けるのであれば贈与税が、そして亡くなった後に引き継いだのであれば相続税がかかります。

なので生前に財産を分けるか死後に引き継ぐかで名目や税率が変わってきます。

そうなるとそれはある程度事前にコントロールができるものでもありますよね。
つまり一律でかかる消費税や所得税とは違い、損するか得するかは知恵次第です。

しかしそんなことは税務署も当然想定していて、そもそも贈与税とは相続税の抜け道を補完するために作られたという見方もあります。

夫婦においては嫌が応でも成立する相続関係をしっかりと理解し得をするためには、まずはそのふたつの税制度の仕組みから簡単に理解しましょう。

相続税とは?税率は?

相続税とは亡くなった方の財産を親族が引き継ぐ際にその一定額を国に納めなくてはいけないという税金です。

基礎控除が3000万円、そして法定相続人×600万円を足した額が控除されるため、つまり相続人が3人いるのであれば4800万円以上財産がある場合に発生する税金です。
意外と控除額が高額と思えますが財産とは現金だけでなく、車・土地・家・物などあらゆるものを含めます

それらを全て足した額が基礎控除を超える(=相続税が課税される)ケースというのは、全体の8%ほどです。
つまり法定相続人が2~3人いる家庭で亡くなった方の財産が4000~5000万円くらいになる方は全体の8%ほどしかいないということなのですね。
格差社会と言われていますが、持っている人は持っているのでしょう。

ちなみにその税率も贈与税と同様に累進課税制であり、基礎控除を超えた財産に10%~55%の割合で課税されます。
(累進課税・・・消費税のように100円買っても1000万円買っても定額で10%の税率ではなく、課税対象額が増えるほど税率も増えていく仕組みを累進課税と言います。つまりお金持ちの人には余計にたくさん税金を納めてもらう仕組みです)

相続税の税率を解説

相続税の配偶者控除と落とし穴

3人の相続人がいるなら4800万円までは非課税なのね!という原則があるものですが、もう一つ控除枠があります。
それは亡くなった方の配偶者の方だけが使えるもので、その名の通り「配偶者控除」と言います。
配偶者控除は色々な税金にあるもので、所得税(本人の収入が1000万円以下で、奥さんの所得が100万円以下であれば40万円程度の所得控除)や、贈与税(本人が住むための不動産を配偶者に贈与したときに1回だけ使える2000万円の非課税枠。通称おしどり控除)などがありますが、相続税にもあるのですね。

そしてその非課税枠はかなり大きく、そしてややこしいです。
金額としては1億6千万円までは無条件で非課税となり、それを超える額であっても法で定められたパーセンテージ内の贈与であれば非課税という言い方になります。
なので1億6千万という数字だけではなく相続人の決め方や分け方も理解していないといけないのでややこしいですね。

1億6千万まで非課税というのは分かりやすいです。
後者に関しては具体的な数字を見ると理解ができ、たとえば亡くなった方の遺産が5億円だとしましょう。
そして配偶者が受け取れる配分(パーセンテージ)は配偶者以外の相続人がいるかによって変わります。
この点に関して詳しくはお金持ちの彼と結婚した後の相続で詳しく書いていますが、たとえばお子さんがいる夫婦なのであれば配偶者が50%、お子さんが50%です。
つまり配偶者が相続できるのは2億5千万円で、先ほどの1億6千万円の枠を超えていますが50%の相続というのは法で定められた配分の範囲内なのでこの全額が非課税になるというものです。

金額だけ見たらとても大きな控除で、国からしたら大盤振る舞いと言えそうですよね。
老衰により亡くなってしまったということは残された配偶者も高齢になっているでしょうから自力で生活基盤を整えることも難しいことへの配慮や、そもそも亡くなった方の遺産は配偶者の支えもあって形成された共有財産であるという観点からも、遺産を配偶者が引き継ぐ際には納税額をグッと下げているのでしょう。

でもその金額の高さに目をくらませてしまうと、落とし穴にはまってしまうのです。

一番悩むのは5千万円~1億程度の遺産がある家族

たとえば相続する遺産が3000万円以下なのであれば、それは難しいことを考えずに配偶者とお子さんで分けるのがいいでしょう。
先ほどの例のようにお子さんが1~2人ほどいる家庭なのであれば4000万円程度は基礎控除によって非課税となるので、わざわざ配偶者控除を使うまでもありません。
つまり誰が相続しようと相続税がかからないということなんですね。
先ほど数字を出したように、相続税がかかる家庭は全体の8%ほど。つまりほとんどの家庭が非課税世帯に該当しますので、92%の方はシンプルに皆で相続するのがいいでしょう。

問題は5千万円~1億程度の資産がある家庭です。
お子さんは相続権を持ちますがその権利を放棄して全てを奥さんに相続させれば、一時的には全額非課税です。
本来であればお子さんが相続する分に関しては相続税がかかるレベルになってきますからそれが非課税になるのは得ですね。
しかしそのように目先の利益は大きいですが、いつか奥さんも老衰で亡くなってお子さんに相続するときが問題なのです。
亡くなった方からその配偶者を中心に相続することを一次相続、そしていつかその配偶者も亡くなってお子さんに相続されることを二次相続と言いますが、大事なのは一次と二次で両方とも基礎控除を活用することなのです。
一次相続ですべてを奥さんに相続させてしまうとその際は基礎控除を使わないので損と言えます。
そして二次相続の際に使ったとしても相続人も奥さんの1人分が減っているので基礎控除の金額自体も下がりますし、二次相続では配偶者控除が存在しないので一次相続の時点で皆に配分していた場合に比べてトータルの納税額は増えます。
そういった落とし穴があるのですね。

逆に1億円以上の高額な資産がある場合はまたシンプルになって、配偶者控除を目当てに奥さんがすべて相続するよりもお子さんやそれ以外の相続人にも分けることの方が圧倒的に得です。
なぜなら先ほどの5億の遺産の例のように、配偶者控除を使って奥さんが非課税で相続できるのはその半分の2億5千万円まで。
つまり5億全てを非課税で奥さんに移すことがそもそもできません。

亡くなった方の資産がちょうど1億6千万円なのであれば一次相続では奥さんが全額を相続することでそのときは非課税ですが、この先の二次相続でお子さんたちが相続する金額が増えることとなり、それはつまり納税額が一気に増えるというもの。
一次相続の時点で基礎控除を活用することがお勧めな例ですね。

重要!揉めた場合は配偶者控除の期限切れに注意!

配偶者控除を適用する場合は申告が必要です。
「1億6千万円までは非課税だから勝手に相続しよう!」ではだめなのですね。

申告には期限があって、それは亡くなってから10か月以内です。
遺産の配分がすぐに決まればその10か月には間に合いますが、遺言書も書かれておらず法定相続人の中での争いが発生した場合などは遺産分割協議という話し合いが必要です。
そしてその遺産分割協議は正式に決着したことをその配分比率まで書いて書面に残す必要があり、相続権を持つ全員が出席して全員が捺印をすることが条件です。
それが10か月以内にまとまらないと配偶者控除の申告期限に間に合わなく恐れがあります。

相続と贈与の損得を比較

相続税と贈与税はどちらが得なのか

財産が多い家族なら半分近くを相続税として納税することになりますので、ならば亡くなる前に財産を家族名義にすれば相続税を大幅に節税できるのでは?と考えてしまいますよね。
それを防ぐのが贈与税です。
なのでその方が亡くなる前の財産分与は贈与税、亡くなった後の相続は相続税となります。

そうなると相続税と贈与税はどちらが得なのかという点が気になりますよね。

税率だけを見ると贈与税の方が高いです。

ズルいことをして相続税を脱税しようとしている人のために作られたのが贈与税なのですから、贈与税の方が厳しいのはそれもそのはずですよね。
ならばその人が亡くなるまで一切贈与はせずに亡くなった後に相続したほうが節税になるのかと言うと、一概には言えません。

贈与税は損して得取る?

ポイントは贈与税は毎年の贈与額をコントロールすることができるということ。
贈与額をコントロールできるということは、それにかかる税金もある程度工夫できると言うこと。

ただし「初めから数百万円渡すつもりなのに節税のためにわざと毎年小出しに贈与している」のは脱税と扱われかねないため、この辺はニュアンスが微妙にならざるを得ないのですが、合法な範囲での節税ができるのが贈与税です。

逆に言うと相続税はその貰い方や分け方を我々に有利なように工夫することが難しいです。
亡くなってしまったらそれを一括で相続するしかありませんからね。
税務署にも納得してもらえる範囲で節税ができるのが贈与税ですので、もしその二択を検討できる状況にいる場合は贈与税で工夫してみると良いでしょう。

これらのメリットを理解するにはまずは贈与税の根本から知る必要がありますよね。
贈与税とは何か?税率や控除は?も見てみてくださいね。

事実婚・内縁の夫婦での相続問題

事実婚・内縁の夫婦においては、相続するうえでいくつもの問題に直面します。
(まず事実婚・内縁について詳しく知りたい方は、事実婚・内縁のメリットと手続きを解説ページをご覧ください)

その前提となっているのが法律婚(役所に婚姻届けを出して入籍する、一般的な夫婦関係)とは違い、事実婚なのであれば相手は法定相続人にならないからです。

そこで事実婚の夫婦の多くが取っている方法が、「遺贈」です。

事実婚における「遺贈」という相続方法

遺贈をすることはたいして難しいことではなく、事前に遺言を残しておけばよいだけのことです。

遺産というのは必ずしも血のつながった人にしか贈れないものではないので、遺言書に自らの財産の相続人を記しておけば事実婚であっても相続が可能です。

しかし方法は簡単ですがそれにはデメリットもあります。
その最たるものが高い税率です。

内縁関係における相続のデメリット

先ほど贈与税の税率を解説する際に、「基礎控除が3000万円、そして法定相続人×600万円を足した額が控除される」と解説しましたね。

内縁者への遺贈があったとして、その方は600万円×人数の頭数に入りません
法定相続人が1人(たとえば子供)と内縁の妻が相続する場合、それが法律婚であれば600万円×2で1200万円の非課税枠が増えるところでしたが、内縁の妻はその人数にカウントされないという決まりなので1人分の600万円ということですね。
まあこれが認められてしまうと、遺贈によって相続人を10人作ればそれだけで6千万円の非課税枠を作り出せてしまいますからね。税金を納めたくないがために故意に遺贈を増やすのはほぼ脱税ですよね。
ちなみにこの部分に関しては結構厳しくて、たとえば養子縁組をして法定相続人を増やしたところでその人数は無限に増えるわけではないのです。
この点に関しては他の記事で詳しく解説していますので養子縁組と相続税の節税を見てみてください。

多額の税金がかかる税(相続税や所得税など)においては、細かい税率よりもこういった控除額が重要になってきます。

それと相続税率で見ても本来の相続税の税率よりも1.2倍高い税率に設定されています。

それに財産が現金ではなく不動産だった場合、本来の相続であればかからなかった「不動産所得税」というものも遺贈の場合のみかかってきます。

相続で揉めるケース

もしも認知している子供がいたら・・「遺留分」について

あなたに事実婚の相手がいたとして、その一方で法的に結ばれていてまだ戸籍を離れていない配偶者や認知している子どもがいるケースは注意が必要です。

法律婚をしている配偶者や自らが認知している子供は「法定相続人」に該当します。

法定相続人は本人が拒否をしない限り、遺産の一部を譲り受ける権利が法律で保障されています。

つまりもしもあなたが「私の全財産は内縁者のA子さんに遺贈したい」と遺言書に書いていたとしても、その遺贈はすべて認められるわけではなく、法定相続人がいる場合は一部の財産が彼らに払われます。
それを「遺留分」と言います。
(戸籍については結婚や離婚と戸籍の関係を、認知については子供の認知とその種類をご覧ください)

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